ただ、これだけでは退屈かも知れないので、平行して練習してもらうのが、用紙から鉛筆を一度も離さないで描く構成です。
初めてデッサンをする人は、一つの物をじっくり何10分も見つめることはあまりありません。すぐ目が反れてしまうのが普通です。

そこで使うのがデッサンスケール。
10数センチ四方の長方形を中心に、糸を十字に張ったものです。
最近はプラスチックでできたものが売っています。
親指と人差し指で長方形を作って見る人もいます。

描く対象物がすべてその枠の中に入る様、枠を前後に動かしながら見ます。
一番大事なのは中心を見つけることですが、始めての人はどうしても大きな物、硬い物に目が行きがちです。

静物デッサンから始めましょう。
まず、クロッキー帳の中心に十字の線を引いておきます。クロッキー帳の中心は紙の端と端を合わせ、ちょっとだけ折り、しるしからしるしまで一気に線を引きます。長い線を引く時は躊躇しないことです。
描く対象はなんでもかまいません。が、まず最初はできるだけシンプルな植木鉢にします。
植木鉢は丸いので影が見やすいこともあります。植物の方は大きな葉っぱの方が、描きやすいです。

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始めから完璧になんてできるわけはありません。12、15、18と進んで行くうちに徐々にですが、上手くなっていきます。
私のデッサンのクラスでは、毎回10分~15分くらいウォーミングアップとして半年くらい続けてもらいました。
もう辞めてもいいと言っても続けていた人もいて、24まで頑張りクロッキー帳1冊終わらせました。
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   (生徒さんの15のグラデーション作品)

この10個の四角箱で白から黒へのグラデーションを描いてください。
最初の箱は真っ白なので何も描きません。
2つ目の箱は少しだけ暗くするために、斜め45度の角度で等分に2本の線を引きます。
3つ目は3本、次は4本、5本と斜め45度をキープしながら5つ目まできます。
6つ目ぐらいからは6本とは限りません。箱の大きさにより10本になってもかまいません。
というのも、最後の箱は真っ黒になるため、2度描きしてもかまわないことにしました。そうすると6つ目ぐらいから少し調整した方が良いこともあります。

白から黒のグラデーションができたら、次は黒から白です。
白から黒と同じように2本線を引き、10等分にします。
今度は、最初が真っ黒ですので、45度の角度をキープしながら2度描きします。
次は少し明るく、最後は白で終われるように描きます。
     

さあ、描いた2本のグラデーションを、少し下がって目を細めて見てみましょう。違和感なくきれいに白から黒、黒から白に移行していたら、素晴らしいです。
次の12個に移ります。
そうでない方はあと4~5繰返し練習して下さい。
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(生徒さんが描いた12個のグラデーション)

【鉛筆の使い方】

 
【鉛筆の使い方】
まず、鉛筆の使い方から始めます。
 
鉛筆はHB など普通の硬い鉛筆でかまいません。
やわらかい鉛筆は滑りますので、最初はしっかり描けるように硬い鉛筆にします。
鉛筆への力の入れ方などもいっしょに学んでほしいので、シャープペンなどではなくあくまで鉛筆にこだわります。
 
定規、消しゴムは最初のうちは使えません。
定規に頼らず真っ直ぐな線が描けるようになるのが理想です。
消しゴムも同じく、間違ったらすぐ消せばいいと思うような線では、生きた線、きれいな線は描けません。
間違っても、曲がっても、そのまま描いていると、曲がったものも気にならなくなってきます。
ある程度鉛筆で線が描けるようになったら、仕上げのために練り消しゴムを使います。
それを続けていると、次第に完成度は上がっていきます。
最初から完璧に仕上げる必要は無いのです。
 
鉛筆のシンはできるだけナイフで削った方がいいのですが、最近はナイフを使えない人が多いので削り器を使っても良いことにしました。
鉛筆のシンはいつでもとがらせ、鉛筆は寝かさず鉛筆の先の尖ったところを使って描きます。
鉛筆は寝かすとどうしても塗っしまい、しっかり描けません。しっかり描くためには、鉛筆はできるだけ立てて使います。
スケッチブックは4~8号、クロッキー帳でもかまいません。色々使ってみて自分に合ったものを見つけてください。
 
では、始めましょう。
ここでは6号のクロッキー帳を立てに使います。
 
一枚のページの上の方に、端~端まで一本線を引きます。
2cm 位下にもう一本平行に引き、端を閉じます。
 
できた長い長四角を10等分して、小さな四角箱を10個作ります。定規を使わないので難しいですが、できるだけ同じ大きさにします。
 

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【はじめに】 鉛筆デッサンを基礎から

【はじめに】
鉛筆デッサンを基礎から考えていきたいと思います。

私はアメリカのアラバマ州にあるモンテバロ大学留学中に、
鉛筆デッサンの可能性を再確認させられました。
それから、ニューヨークの大学院に行った時それが確信になりました。
それまで日本の研究所や大学では木炭デッサンを重視させられて来ましたから、
鉛筆だけというのは新鮮だったかも知れません。



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(ニューヨークで描いた寮のドア)



私は10年前まで東京の中央区でギャラリー花絵の経営をしながら、
水彩画٠デッサンとフラワーアレンジを20年ちかく教えていました。
来てくれた生徒さん達は初めてデッサンを学ぶと言う人達がほとんどでした。
少し習えばすぐにファンシーな絵が描けるようになると
思っている人達がほとんどでした。
が、鉛筆を自由に使えるようになり、水彩画に入れて長く続いた人達も多くいました。

そこで私が考えて実践してきた鉛筆デッサン攻略法をお伝えします。

但し、デッサンは繰返し上手くなるまで描かなければ基礎は身につきません。
根気が続かず辞めてしまう人が多いのはどの世界でも同じです。
自分の目がカメラのように正解にものを捕らえられるようになるまで頑張りましょう。